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【書評】 日刊ゲンダイ」

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【書評】日刊ゲンダイ
『調査報道』 土田修著(緑風出版刊)

<お役所の広報紙と化した日本の新聞>
大手新聞社が日々報道するさまざまなニュース。しかし今、その情報源は政府や官庁、警察、大企業などの“公的機関”に偏り、記者が自ら調査してニュースを発掘するという当たり前のジャーナリズムが失われている。
 
土田修著「調査報道」(緑風出版 2200円)では、アメリカで広まる市民による市民のための“公共するジャーナリズム”を紹介しながら、“お役所の広報紙”と化した日本の新聞の問題点を指摘していく。
 
広告収入のシェアをインターネットに奪われ続けている日本の新聞業界では、人員と取材費の削減が進んでいる。その結果、“ヒトとカネ”が必要な調査報道のセクションも縮小を余儀なくされ、独自取材記事が減少する傾向にある。これを埋め合わせているのが、「記者クラブ」の発表記事だ。
 
記者クラブの会員は、基本的に日本新聞協会に加盟している報道各社の記者である。同協会は、記者クラブを“記者の懇親の場”と説明するが、実際には記者会見の内容をオフレコとして報道規制を敷いたり、オフレコを破った社を除名処分にしたり、記事の掲載日時を都合よく談合して決めることも日常茶飯事だという。この結果、市民に対して当局情報を一方的に押し付けるプロパガンダ装置となり、その体制は戦前と変わりがないと本書。
 
一方、日本と同様に広告収入の減少が進むアメリカでは、報道機関を公権力から独立したNPO化すべきだという主張が広がっている。実際、主要各紙の記者が本来のジャーナリズムを実践するために調査報道NPOに移籍したり、紙面の一部制作を地元NPOに任せるなどして、信頼できるニュース報道の維持に努めているという。

本書は、日本のマスメディアに多くの示唆を与えるはずだ。


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